長野県上田市中之条の歯科クリニック|虫歯治療・歯内治療・歯周病治療・小児歯科・歯科口腔外科

ほり歯科クリニック

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ブログ 2021年10月25日
ラバーダム防湿の重要性について

ほり歯科クリニックの堀です。

ここを読んでい頂いている方はラバーダム防湿をご存知ですか?

またラバーダム防湿下での治療をされたことがありますか?

根管治療(歯の根の治療)にはラバーダム防湿が必須とされていることをご存知ですか?

 

ラバーダム防湿とは、治療する歯を口腔内から隔離し、唾液や浸出液等による感染を起こさないようにするために行う歯内療法や保存修復治療における基本的前準備処置の一つです。

口腔内、唾液等には多くの細菌が含まれていますので、歯の治療とは汚染環境下での治療といっても過言ではありません。その中で行う歯科治療において、最も大事な事は感染(汚染)を起こさない環境で治療するということです。イメージとしては、医療モノのドラマで出てくる手術着を来て、手術室で行う手術シーンでしょうか。

 

歯科治療(う蝕歯の治療)においては多くの治療でラバーダム防湿が有効ですが、その中でも必ず必要とされる治療は歯内療法(歯髄保存療法や根管治療)です。

無菌的処置の原則といい、ラバーダム防湿を含み如何に徹底して感染を起こさず、感染を取り除くかが歯内療法においては最も大切な要素となります。つまりはマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)やCT、NiTiファイルなどの最先端の機材を使い、素晴らしい技術があったとしても、これが守られていなければ治療になんの意味もないことを意味しています。

 

日本の歯内療法は「根管治療の内容と費用について」でも述べましたが、保険診療の中では根管治療の費用が低く、また必要性が問われていないため、ラバーダム防湿は必須とされていながら、残念ながら多くの歯科医院で使われていません(参考文献 jea 2021 年 42 巻 3 号 歯内療法におけるラバーダム防湿に関する調査)。そのため、諸外国の根管治療を行うためのルールを遵守した根管治療の成績は8割〜9割と報告されているにもかかわらず、日本の根管治療の成績は低く、再治療が多いのが現状となっています。 (参考文献  jea 2011 年 32 巻 1 号 須田 わが国における歯内療法の現状と課題)その結果、何度も治療され、抜歯に至る。そんなご経験をされた方は多いのではないでしょうか。

 

          

(※歯内療法の学会員で必ず使用するは50〜60% 非会員で15%)(※ X線透過像の発現率とは治療後治癒に至っていない割合)

注)このデータは最新の物ですが、2011年の同様の調査からは使用率がほぼ倍になっています。近年は重要性を理解し治療にあたっている先生が増えていることは事実ですが、年齢別回答数や回答方法を考慮すると実際の使用率はもっと低いと考えられます。ラバーダムの使用率の詳細:必ずする(100%)一般的にする(70%)時々する(50%)時折する(30%)使用しない(0%)  x線透過像の発現率においては、ある時点のものであるため、治癒途上であったり瘢痕治癒に当たる場合もあり、必ずしも失敗といえない病変も含まれる可能性があるが、それでも半数以上に治癒していない病変があったことを見ると、欧米の専門医による論文の成功率からは程遠いことが伺える。

 

歯内療法(根管治療)は家であれば土台に当たる治療です。どんなに良い歯(例えば自費のセラミック)を入れようと中がきちんとしていなければあっという間に再治療になってしまうかもしれません。十分でない治療による再発、再治療は、歯磨きや定期検診等の「予防」では残念ながら防ぐことができません。

ついでに言わせて頂くのであれば、虫歯、歯周病にならないための「予防」ができていなければ、どんな良い治療でも、予後は残念な結果となってしまいます。(予防についてはこちら

 

当院では根管治療及び歯髄に近接する可能性がある歯の治療においてはラバーダムを必ず使用しています。またそれ以外の保存修復治療に関しても必要に応じラバーダムを行っています。その理由は無菌的処置をするためのみならず、マイクロスコープ下で安全に確実に治療をできるという大きなメリットがあるからです。

 

残念ながら日本の現状から、出来ないとされている理由があることも事実であり、当院でも保険診療で欧米と同じような成績が出せる質の治療を提供することは難しいですが、可能な限り近づける努力は行っています。今回はその一要素としてのラバーダムの重要性について書かせて頂きました。

 

これをお読みになった皆さんはラバーダム防湿、なくても良いと思われますか?

当院でなくても構いません。実際の治療の質、成否、予後については、ラバーダムの重要性は高いとはいえども、CT、マイクロスコープ、NiTiファイルやMTAといった器具機材や薬剤、歯科医師の知識や技術、ご本人の自宅でのセルフケアなど多くの要素で左右されます。一要素に過ぎないことは確かですが、患者さんにとって歯内療法(根管治療)の重要性を理解した治療をしている医院であるかどうかの一つの目安にはなるかと思います。生涯自分の歯を大切にするために、歯科医院を選ぶ基準の一つとしてもらえれば幸いです。

 

ほり歯科クリニック

堀 聡久

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